千葉大学VBL研究プロジェクト終了後、以下の流れでの解析を検討しています。

1.カウンセリング

 個人ゲノム解析をご希望される方には、まず提携医療機関を受診し医師あるいは遺伝カウンセラーによるカウンセリングを行わせていただきます。

 ご自身の現在の健康に関する情報、以前かかったご病気や使用中の薬、ご家族のご病気などを伺います。また、遺伝・遺伝子・ゲノムについてのご説明、ゲノム解析で分かること・分からないこと、病気の原因となる変異が見つかった場合の選択肢など、現時点での個人ゲノム解析について詳しいご説明を受けていただき、ご同意をいただいた方のみに解析を実施させていただきます。カウンセリングを受けていただいた結果、個人ゲノム解析を受けていただかなくても、全く問題はありません。カウンセリングはプライバシーが確保された部屋で行います。

2. 検体の採取

 カウンセリングを受けていただいた結果、ご納得いただいた場合に個人ゲノム解析を行わせていただきます。個人ゲノム解析の試料として、唾液か血液をその場で採取いたします。唾液は血液と同様にDNAを豊富に含む理想的な検体であり、すでに多くの研究・臨床に利用されています。

 後からご郵送いただいたり、ご本人のものではない検体を解析することはできません。また、いただいた検体中のDNA量が不十分であった場合は再度、採取させていただく可能性があります。

3. 次世代シーケンサーによるゲノム解読

 唾液からゲノムDNAを抽出します。抽出したDNAは酵素処理で細分化後、遺伝子領域のみを磁性ビーズを用いて濃縮いたします。様々な前処理を行い、次世代シーケンサーを用いて超並列的にDNAを解読します。解読したDNA配列を強力なコンピューターを用いて、お一人分のゲノムに再構築いたします。

4. 疾患リスクの判定

 決定した遺伝子領域の配列データから、リファレンス配列とは異なる塩基(A, T, G, C)を抽出し、それぞれの変化が病気の原因となる可能性があるかを判定します。複数のデータベース、シミュレーションによる予測、現在の健康状態やご家族のご病気など、様々な情報に基づき、複数の遺伝子解析を専門とする医師・研究者が1例ずつ判定いたします。現時点では判定不能(Variant of Unknown Significance)となった変異は、研究の情報を追跡しアップデートしていきます。

*画像は解析イメージです。

5. 結果のお伝え

 解析が完了した後、再びお越しいただきます。医師あるいは遺伝カウンセラーから直接、結果をお伝えします。追加で推奨される検査、治療や予防の選択肢などをご提示します。必要があれば専門医療機関に関する情報をご提供いたします。

6. その後のフォロー

 現在、遺伝子と疾患との関係を明らかにしようとする研究が世界的に進んでいます。今後、様々なエビデンスが積み重なっていくことが予想されます。現時点で疾患と関わりがないと思われていたバリアントが実は関係があったり、その逆も想定されます。個人ゲノム解析を受けていただいた方には定期的に情報をアップデートさせていただきます。治療や予防の選択肢に非常に重要な結果が新たに分かった場合は再びお越しいただき、カウンセリングを行わせていただきます。