次世代シーケンサーによる個人ゲノム解析は、一般的な消費者むけ遺伝子検査とは大きく異なります。一般的な消費者むけ遺伝子検査ではゲノム上の「よくあるマーク」(SNP)を読み、病気との関連性を判定します。しかし、SNPと病気との関連性はあまりに低いため、それに基づいて予防を行っても効果は上がりません。以下に違いを整理します。
【特徴】 | 【一般的な消費者向け遺伝子検査】 | 【次世代シーケンサーによる個人ゲノム解析】 |
調べるもの | 個人間でよく見られるDNAの違い(SNP) | 非常に稀な違いも含む遺伝子領域全てのDNA配列 |
解析法 | マイクロアレイ | 次世代シーケンサー |
実施者 | 非医療関係者 | 医師 |
検体 | 唾液 | 唾液 |
価格 | 1〜5万円程 | 19万8000円 |
データ量 | 数Mb | 数Gb |
カウンセリング | なし | あり |
医学的根拠 | 乏しい | あり |
【追記】(2019.6.29)
近年、SNPを複数(10-100個ほど)組み合わせることで、より正確なリスク判定を行う「多因子遺伝リスクスコア(PRS)」に関する研究が多く報告されていきています。疾患によっては既存のリスク判定法を上回る報告もあり、注目すべき分野であると考えています。
27疾患59遺伝子についてのリスク判定を目指します。これらは大きく分けて、①がん、②心臓・血管の病気です。悪性高熱症については全身麻酔時のリスクとなります。いずれも早期に発見することで治療が行える可能性が高まる病気です。詳しくはこちらが参考になります(GeneTests Medical Genetics Information Resource (database online). Copyright, University of Washington, Seattle. 1993-2015. Available at http://www.genetests.org.)。